インタビュー特集

プロの脚本に挑戦する「同志社小劇場」 丁寧に脚本を読み込み、今作は、上質な会話劇を上演!

「学生の街」京都には多くの学生演劇サークルや劇団が存在し、個性が光る舞台表現に取り組んでいます。京都を代表するサブカルチャーである学生演劇の世界と、そこで活躍する学生たちにスポットを当て、知られざる学生演劇の魅力に迫る「学生演劇応援団」のインタビュー特集。第11回は、同志社小劇場を取材しました。アングラなテイストの作品が特徴の演劇集団Q、オリジナル脚本の上演が多い第三劇場などの他の劇団に対し、同志社小劇場は、プロの脚本家による既成脚本の上演が多いことが特徴です。今回は、座長の田中みゆさん、広報を務める山根毬亜さん、新歓公演で演出を務めた神部那月さんにお話を聞きました。

提供:同志社小劇場

──はじめに、「同志社小劇場」がどのようなサークルか教えてください。

田中:同志社小劇場は、新町キャンパスを主な活動拠点とする同志社大学公認の演劇サークルです。同志社3劇団の中では最も歴史のある劇団となっており、1921年に設立されてから100年を超える歴史があります。現在所属している団員は約30人(2023年5月現在)で、それぞれの公演には、15人前後の団員が参加します。主に既成脚本を上演していますが、創作脚本を上演することもできます。ジャンルにとらわれず、その時に集まった座組の全員が「上演したい」と思った演目を行うところが特徴です。「芝居って楽しい」をテーマに、毎回自分たちの手で公演を作り上げています。

──みなさんが演劇を始めたきっかけを教えてください。

山根:私は大学に入ってからです。観劇がもともと好きで、野田秀樹さん、松尾スズキさんなどプロの方々の作品を入学前からよく観ていました。自分も「作品を作る側になってみたい」という思いから、演劇サークルに入りたいと思いました。

神部:私は中学生のころから演劇部に入っていました。運動部に入っていたこともありますが、運動部の活動や雰囲気とは違った魅力があり、高校・大学でも続けています。

田中:私も大学に入ってからですが、今では座長を務めています(笑)。経験者、未経験者に関係なく活動しているので、演劇の経験はない新入生にも、ぜひ入部していただきたいです。

──同志社に数多くある劇団の中で、「同志社小劇場」を選んだ理由をおしえてください。

山根:もともと舞台を見るのが好きで、自分が実際に見た舞台を上演してみたい、という思いから、既成脚本を上演することの多い同志社小劇場への入団を決めました。今回の新歓公演の脚本も、私が実際の上演を見て「やりたい!」と思い、提案した脚本です。

神部:中高生から始めた演劇を大学でも続けたいと考えていたところ、ジャンルに偏りなく、さまざまな脚本に挑戦できる同志社小劇場に魅力を感じ、入団を決めました。

田中:「雰囲気の良さ」で決めました。大学入学直後はコロナ禍だったこともあり、新歓公演もなく、オンラインでの新歓活動しかありませんでした。そんな中で参加したのが、伝説の「稽古場中継」企画。後から聞いた話によると、打ち合わせなしでカメラを回したことから突然始まった企画は、劇団内では賛否両論あったそうですが、先輩方の雰囲気の良さが画面越しでも伝わり、入団を即決しました。

提供:同志社小劇場

──公演を見なくてもわかる「雰囲気のよさ」はとても素敵ですね。作品作りにおいて、心掛けていることはありますか?

山根:「心情の流れを丁寧に掴んだ作品作り」を心掛けています。ストーリーの盛り上がりを折れ線グラフで表現した「テンショングラフ」を作ったり、複雑に絡み合う役同士の関係を表す人間相関図をつくったりと、公演ごとにさまざまな工夫をしています。「この役は昨日の朝何食べた?」「兄弟関係は?」など、脚本に書かれていない部分にまで想像を巡らせます。

神部:稽古場では、役作りを深める週を設定することもあります。役作りをひとりで行うのではなく、演出や他の役者から見たその役のイメージも共有し、お互いに意見を交換しながら、それぞれの役への解像度を高めています。

提供:同志社小劇場

──とても丁寧に脚本に向き合っているのですね。公演の軸となる脚本の選定は、どのように行われているのでしょうか?

田中:それぞれでやりたい脚本を持ち寄ってプレゼンをしたのち、最終的には「全会一致」で決める方式をとっています。提案される脚本は、なんとなく劇団のカラーに合っていたり、メンバーの好きな方向性が似ていることもあったりして、最終的にはみんな「これがいいよね」となることが多いです。

山根:今回の新歓公演の脚本は、実際にプロの方の演劇の上演を見た上で、脚本家の岩松了さんに直接声をかけました。学生でもプロの演出家の方とも繋がることができ、実際の上演までできるのは、学生劇団ならではの魅力ですね。

提供:同志社小劇場

──山根さんの行動力もあってこその、今回の新歓公演だったのですね。演出ではどんな部分にこだわりましたか?

神部:今回の脚本はミステリーなのですが、ストーリーをより彩る魅力として、「おしゃれさ」を前面に出すことにこだわりました。二段の構成で空間を大きく使った舞台、ジャズを軸にした音響、時間の経過を表す照明など、スタッフワークの力を総動員して、魅力的な空間づくりを心がけました。

提供:同志社小劇場

──新歓公演は終演してしまいましたが、新入生はまだ入団できますか?

田中:いつでも部員募集中です!今は7月上旬の次回の公演に向けて準備を進めています。途中から入団する人も多いので、演劇に興味がある新入生は、ぜひぜひ同志社小劇場の門を叩いてみてください!

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