インタビュー特集

廃部を乗り越え再結成した「演劇実験場下鴨劇場」。自由で新しい演劇に挑戦中!

「学生の街」京都には多くの学生演劇サークルや劇団が存在し、個性が光る舞台表現に取り組んでいます。京都を代表するサブカルチャーである学生演劇の世界と、そこで活躍する学生たちにスポットを当て、知られざる学生演劇の魅力に迫る「学生演劇応援団」のインタビュー特集。第8回は、演劇実験場下鴨劇場を取材しました。

演劇実験場下鴨劇場は1997年に結成された京都府立大学唯一の演劇サークルです。しかし、2020年に一度廃部になってしまいます。そんな下鴨劇場を2021年に復活させたのが、現役で活躍するメンバーたちです。復活の経緯や、演劇にかける想いについて、市川賢太郎さん、黒住大輔さん、仲西想さんが話してくれました。

──下鴨劇場は、どのようなサークルですか?

市川:下鴨劇場は、京都府立大学公認サークルの中で、唯一の演劇サークル。1997年6月に結成され、学内での公演をメインに活動する小規模な劇団です。部員減少が原因で、2020年に一度廃部になってしまうんですが、その後2021年の6月に再結成しました。

── 一度廃部になっているのですね。再結成の経緯を教えてください。

黒住:再結成に立ち上がったのは、現在部長を務める、清水歩美さんでした。大学に入学し、演劇をやりたかったのですが、当時、下鴨劇場は廃部になっていて、府立大に演劇サークルは存在しませんでした。そこで、思い切ってTwitter上で「自分は演劇をやりたいから、参加したい人はいませんか?」と清水歩美さんが募集をかけたんです。それが劇団再結成のきっかけです。ツイートを見て集まってきたメンバーが、他の学内の友達を誘って少しつづ人数が増えていき、現在につながりました。

市川:再結成当時、演劇経験者は2、3人ほど。ほとんどのメンバーが初心者からスタートしています。コロナ禍ということもあり、本格的に活動ができるようになったのは再結成から半年後の2021年12月でした。その後2022年3月に『不幸の祭典』という朗読劇をweb上で公開しました。それが皆で作り上げた初めての作品ですね。下鴨劇場のYouTubeチャンネルでも公開しています。

── その後、6月公演では、初めての有観客公演を上演されましたね。

黒住:はい! 新入生が入って体制が整ってきた6月に、初めて観客を迎え入れました。『何でも運送業』というタイトルで、30分ほどの演劇です。初めて見る人も楽しめるように、コメディーを選びました。2日に分けての上演で、Wキャストで行いました。

── 公演までの準備で、苦労した点を教えてください。

黒住:1回生はもちろん、2回生にとっても初めてだったので、皆わからないことだらけ。準備はとても大変でした。下鴨劇場が廃部前に使っていた舞台や機材を譲り受けたのですが、単管(パイプを組み立てて幕を張るもの)を使っての設営作業もすべて手作業なんです。右も左もわからなかったので、TwitterでOG・OBの先輩方と繋がって、アドバイスをもらいました。それを機に、設営だけでなく演劇の感想も下さるようになりました。経験豊富な先輩方の意見はとても参考になるし、交流できてとても嬉しいです。

── お客さんを前にしての初めての公演ですね。どんな気持ちでしたか?

市川:おかげさまで公演は20人キャパの劇場が満員になり、達成感とやりがいを感じました!

仲西:私は1回生で、これまで演劇経験もありませんでしたから、とにかく自分がキャストをこなすことに精一杯。でも、やってみて演劇の面白さに気づきました。1日目と2日目でキャストを入れ替えたので、私以外に同じ役を演じたキャストがいます。その人と私はもとの性格が全く違うんですが、いっぱい意見を出し合って、すり合わせて同じ役を演じることが面白かったです。

── 今後、「下鴨劇場」はどんな演劇をしていきたいですか。

市川:今は3ヶ月に1度のペースで公演をしています。私たちは再結成したばかりのメンバーで、伝統もない。だからこそ踏襲することなく、自由に楽しくできています。9月公演では、1本の演劇作品ではなく、メンバーが思い思いに落語、コントや即興劇を披露しました。自分達で開拓できる自由さが下鴨劇場の魅力だと思います!

黒住:時には、自由すぎるときもあるんですけど、それが楽しいので!(笑)。

市川でも、再結成したばかりでわからないことも多いので、佛教大学の劇団「紫」さんに色々教わっています。

── 同じく学生演劇応援団に所属する劇団「紫」さんですね。

市川:はい!まさにきっかけはこのサイト、「学生演劇応援団」でした。「学生演劇応援団」での交流を通して、連絡先がわかったので、「再結成したばかりで苦労している」と私たちの事情を伝えて、メッセージをやりとりするようになりました。チームづくりや練習方法、公演の運営についてなど、色んなことを教わっています。横のつながりを深められたこのサイトの存在が、とてもありがたかったです。

黒住:2022年の11月には、劇団「紫」さんの文化祭公演の受付のお手伝いに行きました。公演を見に行った下鴨劇場のメンバーたちも、他の劇団の公演を見ることでモチベーションが上がったようです。いつか下鴨劇場と劇団「紫」で一緒に公演ができるといいね、と話しています。

── 楽しみです。最後に皆さんの意気込みある目標と、読者へのメッセージをお願いします!

仲西:まだまだ規模が小さく学内向けの上演も多いので、もっと学外の人にも見てもらえるような演劇がしたいです。借りる部屋の広さから最適な席の配置を計算するなど、演技以外の部分にもこだわって、没入感のある空間づくりをしてみたいです。

黒住:今私たちは、新歓公演の準備を進めています。少しでも気になった新入生はぜひ見にきてほしいです。一緒に「新生下鴨劇場」を自由に楽しく作っていきましょう!

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