インタビュー特集

京大唯一の公認演劇サークル「劇団ケッペキ」 活動ができない間も伝統を守る

「学生の街」京都には多くの学生演劇サークルや劇団が存在し、個性が光る舞台表現に取り組んでいます。京都を代表するサブカルチャーである学生演劇の世界と、そこで活躍する学生たちにスポットを当て、知られざる学生演劇の魅力に迫る「学生演劇応援団」のインタビュー特集。第5回は、劇団ケッペキにお話を聞きました。
1993年に「総合芸術集団潔癖青年文化団」として結成された劇団ケッペキ。今年30年目を迎えた、京都大学唯一の公認演劇サークルです。コロナ禍でも、劇団ケッペキを守り抜く思いについて、代表の間﨑柚太さん(京都大学工学部 2年生)、副代表の森本柾史さん(京都大学理学部 3年生)が話してくれました。

──はじめに、劇団ケッペキとはどのような演劇サークルですか?

間﨑:京都大学唯一の公認演劇サークルで、今年30年目を迎えました。京都大学、立命館大学、同志社大学、京都女子大学、京都芸術大学、京都産業大学、滋賀医科大学、大阪の大学など、メンバーの所属大学はさまざまです。

森本:休団しているメンバーを含めると、常に100人くらいが所属しています。

──大規模な演劇サークルですね! 劇団ケッペキの演劇についても教えてください。

間﨑:コロナ禍になってからは、観客を入れた対面の公演を一度もできていませんが、ケッペキは、誰でも演出ができる「プロデュース制」を採用していて、扱う演劇のジャンルも本当にさまざまです。強いて言えば、これまでは会話劇や1時間半〜2時間くらいの既成脚本が多かったように思います。

──そうなんですね! お二人も公演が待ち遠しいのではないでしょうか。

森本:はい。ケッペキは、多数の大学からメンバーが集まっている公認団体のため、京都大学が定めたコロナ禍における感染予防マニュアルに則り、対面での活動を休止しています。僕自身、ケッペキとしての最後の公演は、2020年冬のオンライン演劇(通称:オン劇)です。対面公演の経験があるのは、僕たちの1つ上の4年生の代が最後です。

(写真提供:劇団ケッペキ)

──京大生だけでケッペキとして活動しよう、という流れにはならなかったのですか?

間﨑:そういう声もなかったわけではありません。でも、他大学のメンバーなしで、京大生のメンバーだけで活動するとしたら、それはもうケッペキではない。「いろんな大学のメンバーが集まっているからこそ、ケッペキ」という結論に至りました。

森本:「活動の機会に差を与えない」というのも、ケッペキのモットーです。「京大生じゃないからケッペキとして活動できない」というのは、そのモットーに反します。

──さまざまな葛藤を乗り越えてこられたのですね。公演ができない状態での劇団の存続は簡単ではないことと思います。

森本:公演はできなくても、なんとかケッペキを守っていくために、これまでの伝統や流れを引き継いでいこうと努力しています。例えば、ケッペキの特徴であるクオリティの高さは、それぞれのメンバーがユニットなどで活動しながら、技術面のノウハウを得ています。クオリティの高さの元となっていたケッペキの裏方の強さは、メンバー数の多さも大きな理由。これは、休団制度などによって維持されています。

間﨑:組織としてのシステムが整っているのも、ケッペキならではだと思います。先輩たちが公演を行っていたときには、公演を行うまでのプロセスも決まっていました。企画書、予算書、決算書の提出が必須であったり。そうやって整えられたシステムが、公演のレベルの高さにもつながっていたんじゃないかと思います。だからこそ、このシステムは、公演を打てない今でも守っていかないといけないと思っています。そのために、毎週オンラインで定例会を行うなど、先輩たちが築いてきたシステムをなんとか途絶えさせないようにしています。

──なるほど。みなさんのケッペキへの思いの強さが伝わってきます。

間﨑:今はバラバラで各自の活動をしていますが、早くみんなで「ケッペキ」として公演がしたいです。その日に向けて、すぐにでも公演ができるように準備を整えています!

森本:クオリティの追求ももちろん重要ですが、今は何より、なんとか公演がしたい。その気持ちだけです。

──みなさんの切実さが伝わってきました。学生演劇応援団も、ケッペキの公演を楽しみに待っています! 

森本:ありがとうございます。一日も早く、学生演劇応援団の公演カレンダーに、ケッペキの公演情報も載せられたら嬉しいです!

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