インタビュー特集

エンターテイメント性の高い「月光斜」 先輩から受け継ぐ、こだわりの演出

「学生の街」京都には多くの学生演劇サークルや劇団が存在し、個性が光る舞台表現に取り組んでいます。京都を代表するサブカルチャーである学生演劇の世界と、そこで活躍する学生たちにスポットを当て、知られざる学生演劇の魅力に迫る「学生演劇応援団」のインタビュー特集。第3回は、劇団月光斜にお話を聞きました。
立命館大学で活動する月光斜の創立は、1968年。実に、50年以上続く演劇サークルです。近年は、劇中にダンスや殺陣を取り入れるなど、エンターテイメント性の高いことでも知られています。今回は、今年度の座長、710さんを取材しました。

『犯罪×犯罪(クライム×クライム)』 最終章(写真提供:劇団月光斜)

──月光斜はどんな劇団なのか、教えてください。

710:立命館大学の衣笠キャンパスを拠点に、今は50人ほどのメンバーが活動しています。様々なジャンルの演劇に挑戦していますが、最近では、特にファンタジー系の派手めな舞台に力を入れています。月光斜の演劇の一番の特徴は、オープニングダンスや殺陣といったエンターテイメント性の高い演出です。

──オープニングダンスとは何ですか?

710:オープニングダンスとは、公演の序盤でキャストが音楽に合わせて踊る演出です。オープニングダンスの曲は、その公演のテーマ曲とも言えるほど重要で、選曲にはすごくこだわっています。それに加えて、どこでダンスを組み込めば、お客さんに楽しんでもらえるか、というタイミング。また、それぞれのキャラクターに合った振り付けも、音響効果班や振り付け班が考え、工夫を凝らしています。オープニングダンスは、ほとんど毎回の公演に取り入れて、今では恒例になっています。

Night Brusher」(写真提供:劇団月光斜)

──おもしろいですね! 殺陣は難しそうです。

710:そうですね、自分達で殺陣の振りも考えなくてはいけないので、大変です。「殺陣班」を中心に、どうすればかっこよく見えるのか、そのスキルやポージングを、映画やYoutubeを見ながら研究しています。ただ刀を振るだけではなく、殺陣もお芝居のひとつ。キャラクターの感情や、そのシーンごとにマッチする振りを考えています。殺陣のスキルは先輩から代々受け継がれています。月光斜では、全員が必ず1つ、どこかの部署に所属するのですが、希望者は「兼部署」といって、かけもちで他の部署に所属することができます。兼部署になる部署は決まっていて、振付班、映像班、そして殺陣班です。

──全員が何かしらの部署に所属するのですね。

710:はい。部署は、舞台、照明、音響効果、衣装小道具、製作、情報宣伝、宣伝美術の7つに分かれています。部署に所属することで、それぞれのスキルを極めることができ、下の代にも技術をきちんと受け継いでいくことができます。

舞台設営の様子(写真提供:劇団月光斜)

──特にコロナ禍において、先輩から後輩への技術の伝承は大きな課題ですが、部署ごとに受け継いでいく仕組みが整っていると安心ですね。

710:そうですね。コロナ禍でいえば、映像での発信にも力を入れ始めました。昨年の夏公演からは、Youtubeでアーカイブのアップも始めました。公演そのものだけでなく、舞台裏や役者インタビューなども公開しています。舞台に立つ役者はもちろん、裏方として活躍する団員たちにもスポットがあたっています。公演が出来上がるまでの制作の過程を見ることができるので、演劇ファンには人気のコンテンツになっています! 殺陣やオープニングダンスを取り入れた公演を、Youtubeでも見ることができます。月光斜のエンターテイメント性を多くの人に、楽しんでもらえると思います。

「Night Brusher」(写真提供:劇団月光斜)

──公演のアーカイブはもちろんですが、舞台裏などのコンテンツも見応えがありますね。次の公演の予定についても教えてください。 

710:次は10月ごろに卒業公演を予定しています。詳細はまだ決まっていませんが、毎年4年生が中心となって行う、今年1年の集大成ともいえる公演です。詳細は9月ごろ決まる予定なので、ぜひチェックしてください!

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