インタビュー特集

12月にロームシアター京都で新作上演! 劇団不労社『MUMBLE ─モグモグ・モゴモゴ─』稽古場レポート

今、関西で最も注目を集める若手劇団のひとつ、「劇団不労社」。アンダーグラウンドとハイカルチャー、コメディとホラーなど、対極にある要素を織り交ぜながら現代の歪な人間像を描いた作品を手がけている。若手アーティストの発掘と育成を目的とした「ロームシアター京都 × 京都芸術センターU35創造⽀援プログラム“KIPPU”」の2023年度公演として、12月14日(木)~ 12月17日(日)の4日間にわたり、「劇団不労社」による新作『MUMBLE ─モグモグ・モゴモゴ─』が上演される。本番を間近に控えた稽古場を取材した。

劇団不労社『MUMBLE ーモグモグ・モゴモゴー』メインビジュアル

劇団不労社の稽古場を訪ねた11月下旬、稽古は中盤に差し掛かっていた。今回は新作の上演ということもあって、脚本執筆と稽古を並行して進めるスタイルを取り、10月半ばから始動したという。
この日も書き上げられたばかりの脚本が配られ、俳優たちによる立ち稽古を通して、すぐさま形になっていく。劇団不労社の代表で脚本・演出を担う西田悠哉さんは、これまでの作品を含めたすべての脚本を、俳優を決めてから脚本を執筆する「あてがき」で制作している。俳優たちから想起されるキャラクターや関係性に、西田さん自身が扱いたいテーマやモチーフを重ねて、作品のプロットを組み上げていくという。

新作『MUMBLE ─モグモグ・モゴモゴ─』は、ムラ社会的な閉鎖コミュニティを舞台に、共同体に内在する暴力性を描く「集団暴力シリーズ」と名付けた作品群の4作目となる。劇団不労社の特色である、現代の歪な⼈間像を滑稽かつグロテスクに描いたシリーズ最終章として、これまでの「集団暴力シリーズ」をセルフオマージュする手法も取り入れている。過去の作品を観た方なら、思い出すセリフやモチーフがあるかもしれない。

また、今回の作品でキータームとなっているのが「食」だ。稽古場では、舞台上にたくさんの食器や調理器具が小道具として並べられていた。「食事をする場には、人間の生々しい関係性が現れると思う」という西田さん。食事という行為を舞台の上に乗せることで「ある種のパフォーマンスとして、食事を見せたい」と語る。

稽古の合間、西田さんが小道具の菜箸を手に取りながら、「ホラーとは?」という話題に話が及んだ。「眼球という丸出しの臓器と、こういう鋭利なモノが一緒にあったら、もしかして“あんなこと”が起こりえてしまうかも……。そんな、現実世界では浮かばないような好奇心が、フィクションの世界だからこそ形になってしまう。そういうところに、ホラーというジャンルの本質があるんじゃない?」

時として自ら倫理観の外側へと逸脱していくような、人間の想像力という怖さ。そんな底知れぬ人間のグロテスクな一面を、滑稽さとともに表現するのが劇団不労社の特色と言える。たまらず目を覆いたくなりながらも、指の間からついこっそりと覗いてしまう。人間の一面をくすぐるような舞台に、劇団不労社の作品づくりのぶれない軸が垣間見える。

コンプライアンス重視の風潮から、あらゆるコンテンツで「センシティブな表現」に規制がかかる昨今。師走を迎えたロームシアター京都の舞台の上で、演劇という生身の人間が創造するメディアだからこそ表現できるコワさとユーモアを隠し味に、劇団不労社がどんな調理を見せるのか。その味わいに、どうぞご期待あれ。
(取材・執筆/久野泰輝)

KAVC FLAG COMPANY 2021-2022参加作品 第七回公演『BLOW & JOB』(撮影:肖藝凡)

西田悠哉さん(劇団不労社 代表 / 脚本・演出・出演)コメント
「理想郷の名前が冠された架空の⺠宿を舞台に、豪雪により陸の孤島とした化した極限状態に陥ったとある家族が、“人間としての倫理”と“動物として生理”の境界でもがく姿から、奇妙で野蛮な人類の愛おしさを感じられる作品になっているかと思います。 集団暴力シリーズの集大成、是非ご期待ください!」

■公演情報
ロームシアター京都×京都芸術センター U35 創造支援プログラム “KIPPU”
劇団不労社「MUMBLE ーモグモグ・モゴモゴー」
2023年12月14日(木)~ 12月17日(日)

12月14日(木) 19:00開演
12月15日(金) 14:00開演/19:00開演
12月16日(土) 13:00開演/18:00開演
12月17日(日) 14:00開演
*受付開始・開場は開演の30分前より
会場:ロームシアター京都 ノースホール

作・演出:西田悠哉
出演:荷車ケンシロウ、むらたちあき、永淵大河、西田悠哉(以上、劇団不労社)
黒木陽子(劇団衛星/ユニット美人) 小山栄華(アナグマの脱却座) 中尾多福(幻灯劇場) のたにかな子 三澤健太郎(エムシー企画) 森岡拓磨(冷凍うさぎ) 横山清正(気持ちのいいチョップ)

詳細はこちらから(ロームシアター京都HP)
https://rohmtheatrekyoto.jp/event/103764/

■劇団プロフィール
劇団不労社

撮影:肖藝凡

2015年に代表の西田悠哉が大阪大学を母体に旗揚げ、以後関西を中心に活動。虚構/現実、聖/俗、恐怖/笑い、センス/ナンセンス、冷静/情熱の間を漂流し、ニッチな市場開拓を試みる零細劇団。コント、バイオレンスムービー、オカルト、ヴェイパーウェイヴ、現代思想など、媒体を隔てた様々な考えや手法をサンプリングしながら、現代の歪な人間像を滑稽かつグロテスクに描く作劇を特色とする。令和3年度 次世代応援企画break a leg、KAVC FLAG COMPANY2021-2022選出。関西演劇祭2021にてベスト演出賞(西田)、アクター賞(荷車)受賞。2022年度よりKAIKAアソシエイトカンパニーとして活動。
劇団不労社HP→https://www.furosya.com/