
「今、京都で最も面白い舞台をつくる学生劇団はどこか」 京都学生演劇祭2023が閉幕
京都学生演劇祭2023が閉幕した。「今、京都で最も面白い舞台をつくる学生劇団はどこか」という問いに答えるべく始まった京都学生演劇祭は、今年で13年目を迎える。今年は学生劇団全6団体に加え、大学卒業後も活動を続ける30歳以下の若手劇団「U-30団体」が3団体参加。会場となった養正市営住宅6号棟跡地 野外特設舞台(京都市左京区)は連日満員に近い観客が訪れ、例年以上の盛り上がりを見せた。
9月16日、会場の野外特設舞台で授賞式が行われた。大賞と審査員賞の審査は、京都学生演劇祭の発起人であり、プロデューサーを務める沢大洋氏、KYOTO EXPERMENT共同ディレクターのジュリエット・礼子・ナップ氏、俳優の二口大学氏、したための和田ながら氏の4名が務めた。発表された審査結果は以下の通り。
◆京都学生演劇祭2023 審査結果
【大賞】青コン企画(仮) 『贋作E.T. の墓』
【審査員賞】らせんの目 『密度の実験』 青コン企画(仮) 『贋作E.T. の墓』
【観客賞】青コン企画(仮) 『贋作E.T. の墓』
【KYOTO EXPERIMENT賞】らせんの目 『密度の実験』
【TOWA賞】青コン企画(仮) 『贋作E.T. の墓』
【舞台監督賞】劇団フォークロア
【照明賞】劇団フォークロア
【音響賞】青コン企画(仮)
【参加団体賞】青コン企画(仮)
■同志社大学を母体に結成された『青コン企画(仮)』が6賞を受賞
大賞を含め、計6賞を受賞したのは青コン企画(仮)。「学生劇団応援団」編集部が審査にも参加したTOWA賞も、「最も輝いていた劇団」という目線で審査し、青コン企画(仮)に授与した。

タイトルにある通り、映画『E.T.』を題材として扱いつつも、ストーリーはオリジナリティ溢れる内容。演じる役者の息も揃っており、演技の熱量の中に、いつのまにか会場がとり込まれていた。また、穴掘りや落下、浮遊などといったダイナミックなシーンが、音響と照明を駆使した演出の工夫によって、見事に表現されていた。本番直前にメンバーの欠員が出たそうだが、それを全く感じさせない上演で、団体としてのチームワークの強さもうかがえた。

他の団体も含め、今年は野外特設舞台ならではのテントの構造をうまく活用した演出が多く見られ、作品の仕上がりが例年以上に高い印象を受けた。参加団体の多くは、数年前にコロナよって活動の制限を多く受けた世代。徐々に舞台の上演もしやすい状況となり、いままで抑え込んできたエネルギーが、それぞれの作品に込められていたように感じる。
大賞受賞団体である青コン企画(仮)には、2024年3月に愛媛県新居浜市で開催される第9回全国学生演劇祭への出場権が与えられる。オリジナリティ溢れる彼らの世界観を、ぜひ全国の学生にぶつけて欲しい。
(執筆/久野泰輝)
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